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ヴィンテージファン必見!FRP 製イームズシェルチェア修理の様子(例 02)

イームズ(ハーマンミラー)のアームシェルチェアの修理を請けた際の、実際に行った作業の様子を紹介します。

  • お客様からの依頼
  • FRP 製シェル部分の修理
  • 仕上げ

と進んでいきます。

1)お客様からの依頼

ある日、「中古で買ったアームシェルチェアで破損があり、修復の跡があるのですが、全く意味がない状況ですので、今のうちに修理をしたいと考えております。

費用を教えていただけないでしょうか?」と、ホームページの問い合わせフォームから依頼をうけました。

「破損具合・材質などを確認したいので、何枚か破損部分の画像を送ってください。折返し、見積もり料金など連絡したいと思います」と返信したところ画像が送られてきました。

お客様のアームシェルチェア

画像を確認すると、古いヴィンテージのアームシェルチェアで、FRP でできたシェルが 1箇所 6cm ほど割れています。

聴いてたとおり、修理の痕(接着剤を塗った痕)もありますね。

画像を拝見した結果、「修理は可能」と返事しました。

(実は、真っ二つに割れてても修理する自信はあります。)

修理する場合、チェアの表側も裏側もオリジナル同様に、平滑に極力ディティールを崩さないようにしますので、割れたままの状態より見栄えは良くなると思いますが、このチェアを作ったハーマンミラー社のとは違った樹脂や接着剤を使用するため、どうしても修理箇所の色・艶は違ってしまいます。

しかし、今回から樹脂に着色して修理することにしました。

シェルの色と修理箇所の色を完璧に合わせるのは無理ですが、少しでも修理した部分を目立たなくして完成度アップ・顧客満足度アップに努めます。

調色は硬化剤を混ぜた状態の樹脂に着色するので、硬化スピードが速い樹脂ですとジックリ色を調節できませんし、元々の樹脂の色やガラス繊維の積層加減によって、樹脂の硬化後に色は変化していくので、難しいんです。

2)FRP 製シェル部分の修理

後日、お客様から傷ついたアームシェルチェアが送られてきました。

確認すると、事前に見せてもらっていた写真の通り、シェルは 6cm ほど割れています。

裏側はパテ?接着剤の痕もあります。

ヒビ割れの大きさにもよりますが、パテとか接着剤だけで修理した場合、座ったときにシェルがしなる(変形する)と、追従できなくて剥離したり再び割れる恐れがありますので、お薦めではないです。

割れたシェルの状態(表側)
割れたシェルの状態(裏側)
割れたシェルの状態(裏側)

早速、修理に取りかかりました。

割れている部分を綺麗にするため、余計なゴミやホコリを除去したり、接着部分をサンディング(ペーパーがけして粗す)・脱脂したりして整えます。

割れた時の影響で、面に変なテンション(圧力)がかかっていることもありますので、そういうのが無いようにしておきます。

サンディング・脱脂されたシェル(表側)
サンディング・脱脂されたシェル(裏側)

今回のシェルは、割れているのが微妙な位置で、自然な状態で置くと自重でタワミ、面が繋がらない状態でした。

面が繋がらない状態のシェル

これを矯正して、正しい状態にして、樹脂・ガラス繊維を充填・積層します。

割れている部分が綺麗に整ったら、汚したくない部分をマスキングして、樹脂・ガラス繊維を充填・積層します。

樹脂・ガラス繊維を充填/積層されたシェル

事前のサンディングで、『接着強度が上がるように』、『接着面積が増えるように』考えて接着面を整えておくのがポイントですね。

樹脂が完全硬化しましたら、面がつながるように整形・水研ぎして、修理完了です。

ピンホールができた部分も樹脂を充填して平滑にしています。

樹脂や接着剤の硬化具合は見た目では判断しにくいのですが、剛性や強度に関係しますので大事なんですよ。

3)仕上げ

シェルを綺麗に拭きあげたら、ネジってみたりして、チェア自体の強度を確認します。

修理されたシェルの様子
修理されたシェルの様子(表側)
修理されたシェルの様子(表側)
修理されたシェルの様子(裏側)
修理されたシェルの様子(裏側)

問題なさそうなので、お客様に修理完成した画像を確認してもらい、OK を貰ったので梱包してお届けしました。

これにて修理完了です。

→ アームシェルチェアの割れ修理とショックマウントの接着(例 01)

→ アームシェルチェアの穴あき修理(例 03)

イームズのシェルチェアってヴィンテージものですと、ガラス繊維と樹脂を金型でプレスして作られています。

特殊な作り方をしているシェルチェアの修理は、不可能だと思っている人もいるかもしれませんが、可能なんですよ。

古いものですので割れたりカケたりすると、リペア(修理)に困ると思いますが、当店では承っています。

脚を取付けるショックマウント部分の再接着もしています。

当店はガラス繊維やカーボン繊維、樹脂の取扱には慣れていますし、自動車やレーシングカーなどの FRP パーツの修理経験も豊富ですので、その技術を使って FRP 製チェアの修理しています。

色までは再現できませんが、私が修理したチェアは、今のところ問題なし、クレームなしです。

FRP 製チェアのリペアに困ってましたら、ご相談くださいね。

お仕事の依頼・御相談・質問などありましたら、お気軽にお問い合せください。